国際コーチ連盟(ICF)の定めるコーチのコア・コンピタンシーの中に、次のような一文があります。
「クライアントの幸福や未来について、真の関心を示している」
「クライアントの物の見方、学び方、個人としてのあり方への敬意を表している。」 ICF WEBサイトより
これは、コーチのしたいコーチングをするのではなく、クライアントが求めているコーチングをするための大事なあり方です。
クライアントになる
具体的なスキルとしては、「クライアントになる」というものがあります。
時間をとって静かなところに行き、クライアントのことに思いを寄せるのです。
そして、クライアントの持つ 望みや目的。もともとどんな人、キャラクターなのか。クライアントの価値や優先事項はなんなのか。クライアントの学び方やそのための障害になること、スピードはどのような状況か。
そもそもどんなニードを持っているのか。
このようなスキルを発揮してクライアントのことを考えることがクライアントに真の関心を持っているということです。
私は、「クライアントになる」ときに次のようなことをします。
コーチングの前に、ノートを見返す
コーチングを始めるとき、私はクライアント一人につき1冊のノートをつくります。
コーチングが進んでいくとどんどんノートにクライアントのことが書き加えられていきます。
そのノートを、毎回のコーチングの始まりに読み返すのです。
特に、コーチングを始めた頃の情報をよく読み返します。
そもそも、このコーチングは、クライアントのどんなニーズから始まったのか。
クライアントは、そもそもどんな想いや関心、ニードを持っているのか。
このようなことを毎回読み返していくと、コーチングの開始までには「クライアントになる」ということができています。
自分がクライアントになっているのですから、どんな質問で自分の思いを引き出されたいのかということがわかるのです。
また、ノートを見返しておくことは、コーチングの中で出てきたさまざまなリソースを使うということもできます。
例えば、新しく来たスタッフのことや、上司がおこしてくれたアクションで事態が好転した時の話などを思い出しておくと、それを解決や達成のリソースとして提案することができます。
そうすると、「こんなこと覚えていてくれたのだ」と信頼を深めてくれることにつながります。
仕事の進捗状況などを思い出しておくことは、クライアントに何度も繰り返し説明させる時間を省くこともでき、効率的にコーチングをすすめることができます。
ずっとフォローしていく
クライアントがツイッターやブログなどをしているとき、フォローします。
そしてクライアントがアウトプットしたものを一通り読んでおきます。
すると、コーチングの関係以外のクライアントの生活がわかります。
コーチングをするとき,クライアント全体ではなく、クライアントの一部を見ているだけです。
しかし,クライアントの見えない部分,すなわち氷山の海に隠れている部分がわかることは、本来のゴールやニーズが別にあるのではないかというようなこともわかり、次回のコーチングで真のゴールについて考え直すきっかけをなる質問をすることができます。
以上のようなことにより「クライアントに関心を持つ」ということができ、3か月という長いセッションを、深い信頼関係を保ちながら効率的にすすめていくことができます。
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