先日,コーチングを受けました。
私は,その翌日に,ひとつ心に重くのしかかっていることを控えていました。
それは,保護者からのクレームを受けることになっていることでした。
教師として35年勤務している間には,いくら努力しても,保護者の理解を得られないことはあります。
こういうときには,きちんとお会いしてしっかりと思いをお聞きすることが大変重要だと思っています。
そういうわけで,電話でクレームを受けたときに,一度顔を合わせてお話をしましょうということで了解していただきました。
その約束の日が,翌日だったのです。
一度ちゃんと顔を見合わせてからお話をお聞きし,こちらも誠意をもってお伝えすれば必ず安心して帰っていただけると信じていますし,これまでもずっとそのようにしてきました。
そして,ほとんどの場合,帰りはにこやかに帰っていただくことができました。
とはいえ,おいでになる直前には,いつも胃の中に重いものを飲み込まされたような気分になります。
自分から願ったことでありながら,逃げたい気持ちでいっぱいになるのです。
これまでがうまくいったとしても,今回もうまくいくとは限らないのです。不安な気持ちになるのは当然です。
「いやだなと思うことには,むしろ向かっていく。」
「クレームを伝えたい保護者には,きちんと向き合ってお話を聞く。受け止める。」
それしか,よい解決はできないことは経験上わかっていますが,それでもその時間を待っている間はつらいものです。
本当にどきどきします。
逃げたくなります。
このドキドキは,心臓や脳が臨戦態勢に入っている状態であって,こわいドキドキではないのだ,ということは頭ではよくわかっていますが,それでも「うまく対応できなかったらどうしよう」というこわさは消えません。
◇ ◇ ◇
以前はそこで悶々と夜を過ごしていましたが,コーチングを受けることの価値を知ってからは,一晩中悶々として待つことはあまりおこらなくなりました。
なぜなら,コーチが私の不安を,私が持っている価値観を前面に引き出すことによって打ち消してくれることを知っているからです。
ちょうど前日がコーチングの日でしたので,私は助かったという気持ちでいっぱいでした。
セルフコントロールによりある程度の気持ちのコントロールはできますが,それでもコーチによる広い角度からの質問にはかないません。
その日もコーチは,容赦なく,私の持っているクレーム対応の方法の意味,価値,それらを質問により引き出してくれました。
答えに詰まるほど,深いところを聞かれているのです。
「うっ」と詰まるたびに,何とかして言葉にすることで,実は心の奥底ですでに決めている行動や覚悟などがあぶりだされてきます。
コーチからの質問を受け,それに必死に心を絞ってこたえることによって,私のクレームへの対応の仕方が実は私の深いところにある人間観の土台に立っていることに気づかされました。
これは,少々のことではこわれない土台です。
このセッションでは,そういう大きな土台にしっかりと足をつけて立っているというイメージをつくることができました。
コーチングを終えたとき,最初に思っていた通り,不安は消えていました。
勇気をもつことができたからです。
夜は,すっかり明日のことを「忘れて」眠りにつくことができました。
そして,当日。
それでもやはり,朝から思い出すたびに緊張が走ります。
でも,そのたびに大きな土台にどっかと足を踏ん張っている自分をイメージしました。そのたびに落ち着くことができました。
いざ,保護者が来られてからは,もう平穏な水面そのものの心でおだやかに,誠実に応対することができました。
そして,いつもの通り,今回も,にこやかにお帰りいただくことができました。
◇ ◇ ◇
コーチングを受ければいい,ということを知っていると,上のようなことがおこります。
一歩前に進む勇気が得られるのです。
カウンセリングで悩みを吐露することはとても大切です。
それにプラスして,コーチングを受けることにより,私たちは,勇気をもって行動に気持ちを向けることができます。
もし,私のような不安をお持ちの方がおられたら,どうぞお声をおかけください。
お力になれれば幸いです。
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