今日は「人生に失敗がないと人生を失敗する」ということについてのお話です。
この言葉、どこかで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
歌人の斎藤茂吉さん、その方の長男で小説家の北杜夫のお兄さんでいらっしゃる、精神科医にしてエッセイストの斎藤茂太さんの言葉なんです。
人生に失敗がないと人生を失敗する。実にスルメみたいな言葉ですね。とても味わいがある、噛むと味が出るような言葉です。
いろんなことを考えさせられますね。
石橋を叩いてわたっていると、途中で立ち往生する
人生に失敗がないとくのはいいですよね。誰でも失敗することは嫌ですよね。
本当に僕も嫌です。
失敗をしないように、失敗をしないようにとみんな一生懸命です。
それを避けて前に進んでいるわけです。
石橋をたたいて渡るという言葉があります。
石橋、石で作った橋を歩いているうちにガラガラと壊れないように、自分が今から歩くところをコンコンと叩いて、壊れないなと思って一歩進み、またコンコンと叩いて壊れないなと思って一歩進むというようなのです。
まあそのようにして、私たちは失敗をしないようしないようにとに前に進んでいるわけですね。
しかし、時にはその失敗を恐れるあまりに石橋の上で「落ちたらどうしようか」と動けなくなり、立ち往生してしまうことってありますよね。
失敗は時を経ると珠玉の経験になる
失敗ってやはりそんなに悪いものなんでしょうか。
私の母親がこんなことを言っていました。
「色々ありましたけれども、今となっては全てが珠(たま)のようです」と。
楽しかったこと、つらかったことをすべてが珠玉のように思えるということなんですよね。
これも深いですよね。
つらかったことがすべて珠玉の思い出になるというわけですからね。
後を引いても時間の流れの中でそれは良い思い出に変わっていくということですね。
私も振り返ってみたときに、いろんな失敗をしてきてます。
40年間も仕事をしていると毎日が失敗の連続みたいなものなんです。
失敗をしては謝りに行き、必死にそれを修復して、なんとか収まって安堵するとい、そんなことの毎日だったんですね。
収まらずに終わったことだってありますからね。
しかし振り返ってみて、それらがその後の自分の人生における本当に致命的な大失敗だったということはないんですよ。
結局その時に大失敗だと思っていたことっていうのはその時期、またそのときの自分のレベルの中での大失敗だと思っていたことであって、時が経った今の目から見ると小さいコップの中のさざなみだったというようなことが多いんです。
その時には本当に大変だと思っていましたけれども、実はそこまでの失敗ではないということです。
失敗は失敗だけれども後引くようなものじゃないということですね。
つまりその失敗というのは経験になったんですよ。
渡しの場合も、その後の人生にとって大切な経験だったということの法が多いです。
失敗を引きずらずに、磨き上げて「珠」にする
ですから、失敗は経験と考えることができます。
経験ってやっぱり成功体験ばっかりじゃないわけです。
失敗だってありますよね。
できることなら自分の経験は成功体験ばかりで埋めたいものですよね。
でもやっぱり失敗はします。
でもこの失敗をした経験を失敗の経験としてそのまま終わらせ、引きずり続けていくと、それは悪い経験として残って自分のそれから後の足を引っ張りますよ。
「またやっちゃった」とか「また失敗ちゃった」とか言うように。
ですからせっかくした失敗はこれ宝のようなものなんです。母の「珠のようでございます」の言葉通り珠なんです。
これを成功体験にやっぱり変えないといけないですね。
むしろその成功体験に変えられるんだって思うことで、失敗しても大丈夫という気持ちになることができます。
失敗したけど次のチャンスでリベンジしたなら「リベンジ!」と言って自分を褒めてやればいいし、また次に同じような危機があったときにその危機を上手に回避して、これも自分を褒めてやればいいし。
失敗をもとにそれを改善してさらに良いものを作ったという時もこれも自分を褒めてやればいいし。
そうやって失敗というのを成功に変えていくことで失敗は怖くなくなります。
むしろうまみに変わっていく。
私も、失敗を繰り返していくうちに、失敗をした自分を外から見て「失敗してやんの」って笑えるようになっていきました。
失敗を成功経験に変えたら失敗がなくなる
失敗に関しては、エジソンの有名な言葉がありますよね。
「私は失敗したことがない。ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」と。
これは、電球の発明の時の話です。
フィラメントの素材に何を使ってもすぐに焼ききれてしまう。この素材を世界中に探し求めた結果、日本の竹を使うとうまく言ったというお話です。
「失敗を重ねたわけじゃなく、うまくいかない方法を一つ一つ見つけて成功に結びつけたんだ。」という言い方です。
このエジソンの言い方だったらそれぞれは失敗でなくて、一つ一つが成功になっているわけです。
うまくいかない方法をまた見つけた、また見つけたという成功の積み重ねになってるわけです。
これはもう失敗ではないですよね。
またエジソンの言っている言葉をさらに考えてみますと、エジソンはすべての失敗を成功にしているわけで、だから失敗がないんだという言い方をしています。
エジソンにとっては、失敗を全部成功に変えちゃったから自分の人生に失敗がないわけです。
エジソンにとっては、むしろ「人生に失敗がないと人生は成功する」という、当たり前の言葉になってしまいますね。
でもそれは、人一倍たくさん経験した失敗を全部成功経験にしちゃうことができたからはじめて言える話です。
「人生に失敗がないと人生は失敗する」というのは、失敗を恐れて何もしないこと。
「人生に失敗がないと人生は成功する」というのは、数々の失敗を全部成功経験にしてしまったからこそ言えること。
最初の話に戻りましょうか。
人生に失敗がないということは何の経験もしていないのと同じなんです。
改善のしようもないし、成長の余地もない。
だから人生に失敗がないと人生を失敗するというのは、たくさん失敗をしてそれを経験にしていきなさいということですよね。
今後経験していく数々の失敗を成功経験に変えていくということによって失敗を恐れない人生を築いていきましょう。