昨日、長岡半太郎博士の話をしました。
原子核の周りを電子が回っているモデルを東洋人として考えつき論文を提出した長岡半太郎博士のことです。
当時、西洋万能の時代にあって、なぜそれを出す勇気を持つことができたのかという話をしたのでしたた。
自分の思いを越えて世界につながるような夢を持つことの強さについてでした。
今回は、そのことを語るとてもよい例がありましたのでご紹介します。
2020年12月1日に発売された山田ルイ13世さんの「一発屋芸人伝」という本からです。
山田ルイ13世といえば、ひげ男爵ですね。あの「ルネッサーンス!」と言ってワインで乾杯する姿を覚えている方もいるでしょう。
その彼が、様々な「一発屋」と言われる芸人たちにインタビューするという本です。
その一人目がレイザーラモンHGさんでした。「フォー!!」で一世風靡した方ですね。
実は、彼が出る前と後とでは、一発屋芸人という考え方が大きく変わったらしいです。
HGさんは「一発会」という、いわゆる一発屋と言われる方々を集めて、みんなに日を当てようという会を開きました。
その時一番になったのははひげ男爵さんだったそうで、その後また出演オファーが来たという話でした。山田ルイ13世さんにとっては、レイザーラモンHGさんさまさまだったということですね。
ところが、一生懸命頑張って旗振り役をした当のHGさんは24組中20位だったということでした。頑張った割にはまったく報われなかったということになったのです。
その彼にひげ男爵こと山田ルイ13世さんがインタビューするんですね。
自分にとっては美味しくない結果になってしまったけれど、なぜあの会を開いたのかと聞いたのだそうです。
そこでHG「さんは、こう答えています。
「一発屋芸人はキャラ芸人が多い。そしてキャラ芸人はキャラに入り込む人たちで、社交性に乏しく、孤立しがちだ。だからそういう人たちを集めて一緒にやろうという気持ちで始めたんだ」
自分もそれで目立つことで再ブレイクという思いもあったはずですが、その思いを超えて、一発屋たちに力を与えるということがあったわけです。これがすごいことだと思いました。
自分の夢の向こうに世界がどう良くなるのかと思うことが大事。まさにそのことを言っているなと思いました。
HGさんがそのような活動を始める前は、一発屋芸人は悲しい人たち、昔は頑張っていたのに今は落ち目で落ちぶれた人たちというイメージでした。
取材のされ方もそのようで、本人たちもがっかりして打ちひしがれ、とても辛い想いをすることが多かったんです。
ところが、HGさんの活動以後は、「頑張ってしぶとく生き残っているたくましい方々」とか、「久しぶりに見たら面白い人たちだった」という非常にポジティブな扱いをされるようになったということです。
たしかに僕も本当にそう感じていました。一発屋の人たちは落ちぶれてしまって気の毒だなと感じていたのですが、そういえばある時以降「一発屋」という括りで自分の力を強めている気がするなと感じていたんです。
そのきっかけがHGさんの活動だったと知り、とても感慨深かい思いをしました。
その後HGさんもテレビに出ることが多くなり、サングラスをやめて素顔で漫才をやって人気を博したり、近年では、「サスケ」でも見るようになりました。
自分の夢が叶うことで世界も変わる。まさしくそのままの話ですね。
この場合は、HGさんの夢というよりも、一発屋に再度光を当てたいという夢がしっかりかなってから自分の再ブレイクも果たしたわけですが、同じですね。
大きな夢が叶うということは、自分の夢もまたその中でかなっていくということですから。
自分の夢を自分だけの夢で終わらせず、さらに大きな視点から価値付けるというのは大事なことだと改めて思いました。